ともろぐ

柔術成分多めな雑記

アジア柔術選手権からのラスベガス

7/8(土) 愛知県武道館で開催されたIBJJFアジア柔術選手権に出場。もう2ヶ月近く前になってしまったけど今更ながら振り返りたいと思います。

4年振りのアジア選手権開催。9年ぶりの名古屋開催。実は僕が初めてIBJJFアジアに出場したのがこの9年前大会で会場も同じ愛知県武道館。当時青帯で20歳だった青年は29歳黒帯。感慨深いものがあります。

 

僕の柔術人生における選手としての大きな目標は黒帯でワールド(世界選手権)に出場すること。茶帯時代からなんとなくそう思い始めた。ワールドは色帯はオープン参加だけど、黒帯には出場条件があって、IBJJF大会で入賞して80ポイント以上集めないといけない。このポイントを集めるのがIBJJF大会の少ないアジア圏の選手にとっては結構大変で、アジア優勝したら一発で貯まるけど、2位とか3位だと全然足りなくて海外遠征は必須。オープン参加の海外大会もランクの低い大会がほとんどなので複数回優勝or入賞しないといけない場合が多い。でもこの"誰でも出れるわけではない"ブラジリアン柔術最高峰の大会に出ることに憧れを抱いていた。27歳の時に黒帯になったけど、コロナ禍真っ只中で海外への渡航制限は厳しく、日本で開催されていたアジアもずっと開催されなくて、出場ポイントを集めることができなかった。ワールド出場は元々30歳までに達成したいと思ってた目標だけど、気付けば目前に迫ってきた。ここ数年良い戦績も残せていなかったし、もう難しいかもなと内心思ってたところがある。そんな30歳になる年(まだ29歳だけど!!)に4年振りに開催されるアジア選手権。黒帯初のIBJJF大会にしてラストチャンス、とまでは言わないけど、ここで入賞できないようだったら厳しいなと、そのくらいの気持ちで臨んだ。

 

僕の出場したアダルト黒帯ルースター級は10人エントリー。締切時に前世界王者タリソン・ソアレスのサプライズエントリーがあったけど、結局ライトフェザーにスライド。(まあそうだよね)

組合せの結果、僕は運良く小さな山には入らなくて、1回勝てば入賞確定の位置。

 

初戦はCheckMatのSalman選手。多分UAEの人。

引き込んでダブルガードスタート。めちゃくちゃ頭低い体勢で脚にしがみついてくる感じで、トップをになると面倒そうだと思って無理やりボトムになった。相手選手はトップからもめちゃくちゃ低い体勢で攻めてきてガードがつくりづらかった。片襟片袖で相手を止めて、なんとかもぐってシングルワンレッグをつくりかけたところでトップからベリンボロ→クラブライド→50/50フットロックを仕掛けてきたのでそれに合わせて上を取る。フットロックを解除してスイープ2点。正直対処が遅れたなと思ったので相手が足関節得意な人とかだったら極められたかもと反省。サブミッションが外れるとすぐにハーフからディープハーフをつくろうと脇を差してきたのでそれに合わせて腹包の形を作る。いわゆる犬神家の体勢。少し違うのは、相手と胸を合わせることができなかったので、反対の腕が肩越しのクロスグリップではなくて、順方向の前襟をグリップしてコントロールしたところ。時間をかけてじわじわ相手を削っていってニーカットで足抜いてパスで5-0。腹包のプレッシャーから逃れようとうつ伏せになってきたのでグリップ解いてバックテイク。4点もらう前に送襟絞で一本勝ち。ひとまず表彰台は確定でホッとした。序盤は仕掛けが後手になったりして反省点はあるけど良い勝ち方ができたと思う。

 

準決勝は台湾人でAtosのYu Lin選手。今年のマリアナスプロジャパンでは2階級上のフェザー級に出てたのでフィジカル強いんだろうなと思った。このブロックには今年の東日本選手権で負けた篠田選手と去年の全日本選手権で負けたイヤゴ・ウエノ選手がいたんだけど、篠田選手に競り勝ったイヤゴ選手にYu Lin選手がトーホールドで一本取って勝ち上がってきた。トーホールド苦手マンとしてはとにかく足に気を付けていこうと思った。

試合開始して引き込み成功も、相手が遠くてお尻上げて近付いたところに飛びつき三角を合わせられてしまう。早速やらかした。相手の脚が長くて解除できそうになかったのでとにかくディフェンスに集中する。既に場外際で、自分から場外に出るとDQになるかもと思って下手に動くのはやめてディフェンスしながら脱出の機会を伺う。サブミッション中なのでルーチがくる心配はない。あくまで自分から外に出る動きはせず、相手のアクションによって外に出るのを待った。すると狙い通りレフェリーがパローかける。相手にサブミッションの2点と自分にスイープの2点スタンド再開。僕も忘れていたけど、相手の飛びつき三角は僕がガード取ってからの流れだったのでサブミッション解除の時点でスイープ扱いになった。

再開して引き込み成功。リバデラつくれたけどトーホールド警戒して足を触らせないようにしているとなかなか積極的にアタックができない。ただパスられる気はしなかった。途中で逆脚にアクセスできたのでデラヒーバフットロックを仕掛ける。相手嫌がってフットロック解除され、逆にトーホールドを仕掛けてきたので回転して逃げてそのまま場外に押し込まれてパロー。勢いがすごい。

スタンド再開で引き込むとまた飛び付いてきた。今度は三角に入らずクローズドガードに入って上になったのでスイープ2点。これはちょっとラッキー。この時点で4-2リード。このまま逃げ切れるんじゃね?という気持ちが少し芽生える。クローズドガードからKガードで潜ってきたとこを潰してオープンガードにする。練習していたクロスグリップパスでニアパスまでいけたけど、詰めが甘くて乗り過ぎてスイープされかける。そのまま場外に押し込まれてパロー。自分にパスのアドバンと、相手にスイープのアドバンが入る。パスできてたらほぼ勝ち確路線だったのでもったいないことをしてしまったなと思う。この時点で残り1分半くらい。相手は2点ビハインドなので僕の引き込み際にテイクダウンを合わせようと狙ってくる。勢い余って場外に押し込まれる。下がりながら引き込んだことで僕にルーチが入る。それに味を占めたのかもう一度同じことをしてくる。ちゃんと場内で引き込んだんだけどそのまま押し込まれて場外に出される。なんて勢いだ。この時めっちゃ頭突きされた。3度目同じ展開でようやく引き込み成功。残り時間わずか、パスられる感じはなかったので足だけ気を付けて守ることに徹する。そのまま時間がきて終了。4-2で辛勝。決勝進出。

敵失に助けられた試合だったと思う。相手選手はめちゃくちゃ荒かったけど、終わってから頭ぶつけてごめんって言われて良い人だった。頭だけじゃなくて、この試合で顔とか膝とかいろんな箇所をバッティングしてたみたいで試合後数日は身体中痛かった。

 


決勝の相手はトライフォースの芝本選手。黒帯になってから何度も挑戦して全敗で今回4度目の対戦。準決勝のチアゴ・ウエノ戦が凄くて、チアゴ選手が結構追い詰める展開までいったので僕も負けてられないなと思った。最後の対戦から半年経ってまだ自分の実力が上回れているとはとても思えなかったけど、勝てばワールドの出場ポイントが一気に貯まるので出し切ろうと思った。

試合開始、ダブルガードプル。20秒経ってパロー→両者ルーチ→スタンド再開。2回目のダブルガードプル。ここで不思議なことが起こる。僕はトップを選択したのだけど、自分に入ると思っていたアドバンが入っていない。しかも両者に入ったはずのペナルティが自分だけになっていて、相手のペナルティが取り消されている。まさかのペナルティビハインドスタート。トップから攻めるしかないけど、芝本選手の穴のないガードはなかなか攻略できず、パンツグリップを持たれて立たれてしまう。倒されないように結構粘ったけど最終的に足を刈られて派手にテイクダウンされて2点取られる。その後良いガードがつくれず、リバデラにクロスグリップパス合わせられてニアパスでなんとか凌ぐも場外に出てアドバン取られる。スタンド再開で残り1分ちょっと、ダブルガードで上を取ってパス狙うよりも下を取ってスイープ+何かしらのポイント重ねる方が勝ち筋あると思ってアドバン献上するも、結局返せずタイムアップ。2-0で負け、準優勝。スコアとして2点差はそこまで差がないように見えるけど、まだまだ地力の差があると思った。芝本選手は試合中のミスがほとんどなく、アタックもディフェンスも対応が的確。とはいえ、今までの対戦の反省を活かしてゲームとしてはちょっとずつ差を詰められているとは思うので、次は勝てるように頑張る。


序盤の謎レフェリングについて、後から動画を見てわかったけど、2回目のダブルガードから上になった時、主審は何もなし、副審は1人が僕にアドバン、もう1人が僕に2点を入れていて、三者とも判定が一致しなかったので主審の判定が優先されるという珍しい構図だった。つまり、主審が相手の引き込み、副審の1人がダブルガード、もう1人の副審が僕の引き込みと判定していたということになる。なんで相手のペナルティが消えていたかというと、主審は初めダブルガードの時計を見るジェスチャーをしたが、副審が両方ともジェスチャーをしていなかったのでダブルガードを取り消す動作をした。これをスコア係が勘違いして、どうやら相手のペナルティポイントのみ消してしまったらしい。元を辿ればダブルガード判定していた副審がジェスチャーをしなかったことによる連携ミスからの誤審だと思う。これに関しては試合中困惑はしたけど流れや勝敗に大きく左右したとは思わないので、誤審で不利な状況にならないように普段からもっと徳を積もうと思う。運は引き寄せるものだ。

 


ということで、長くなったけども今年のIBJJFアジア選手権は黒帯ルースター級で準優勝でした。

色帯時代含めて全日本もアジアも優勝したことがなかったので、これが今のところキャリアハイの戦績になる。ようやく人に説明しやすい戦績ができた。今回子供生まれてから初めての減量で練習量の確保やコンディション調整がかなり苦しかったこともあり、一番結果を出したい大会で最低限の結果が出てホッとした。

とはいえ今回貯まったIBJJFポイントは27ポイント。ワールド出場の80ポイントには全然足りない。というわけでその足りないポイントを稼ぐべく、今日から開催のJIU-JITSU CON INTERNATIONALに出場するためにラスベガスまできてます。ワールドマスターと同会場で同時開催のやつです。ワールドマスターに日本から参戦する知り合いが多いので海外遠征慣れするにはちょうど良いと思った。JIU-JITSU CON INTERNATIONALは大会ランク2なので、優勝したら54ポイントで規定の80ポイントに届きます。ワールド出場、すごく遠い道のりだと思ってたけどアジア準優勝で少し見えてきた。

ブラケットはもう出てて、4人トーナメントで2回勝ったら優勝。

今日は一緒にきてるチームメイトや知り合いの応援して、明日試合。


頑張ります。