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柔術成分多めな雑記

SJJIFのルール&規定更新について

SJJIF(Sport Jiu-Jitsu International Federation)の2018年度版ルールブックが公開された。

SJJIFとは、以前の記事で紹介したASJJFの上部組織で、柔術のオリンピック競技化を目指した組織である。

 

SJJIFルールはIBJJFルールに比べてポイントシステムが単純で、客観的に勝敗がわかりやすいルールとなっている。大きな違いといえば、アドバンテージがなく、レフェリー判定がない(同点の場合サドンデス)というところだろう。

 

 

更新版には、2018年を待たずしてすぐに適用されるルールや制度もあるようなので、年内にDUMAUなどのSJJIF系列の大会に出場予定の方は早めに確認しておくべきだろう。

SJJIF - Rules & Regulations

 

今回は大きく更新された部分を紹介していきたいと思う。

※以下の文章は公式のもの(英文)を個人的に勝手に和訳して解釈したものなので、実際の解釈とは違うものが含まれているかもしれません。その点をご留意ください。もし違う訳や解釈をしている部分にお気づきの方がいましたら知らせてくださるとありがたいです。

 

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更新された中ですぐに有効となるルール&規定

ユニフォーム

  • 男性競技者はギのトップ(柔術衣)の下にのみラッシュガードを着用することができる。
  • 競技者はショートパンツまたはライクラパンツ(スパッツ)、あるいはその両方を着用して戦うことを選ぶことができる。

 

個人ランキングポイント制度

  • 優勝者は7ポイント、14ポイント、もしくは21ポイントを獲得し、これはトーナメントの競技者の総数によって決まる。

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SJJIFナショナル・先生・チームランキングポイント制度

  • 1年間のSJJIF競技期間中で全てのSJJIF認定トーナメントで所属チームを代表する全ての競技者が獲得した金、銀および銅メダルの全ての累積に基づいている。

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2018年1月1日より有効となるルール&規定

年齢区分

  • 年齢区分は次のようなコードと区分名で認識される。

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体重区分

  • ギおよびノーギのキッズの体重区分は以下の通りである。

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  • ギおよびノーギのジュブナイル、アダルト、マスターの体重区分は以下の通りである。

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黒帯の称号

  • 黒帯の称号は以下の通りである。

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合法・違法なテクニックおよびサブミッション

 

オープンウェイト部門

  • 異なるチームから2人以上の選手が出場する場合、それぞれのブラケットが成立するためには少なくとも3人以上の選手が登録しなければならない。各チーム最大4人の選手が出場することができる。

 

 

 

 

〜〜個人的所感〜〜

 

まず、男性はギの下にラッシュガード着用可とのこと。これは驚きである。確かに、競技の公平性という点では、ラッシュガードの着用によりどちらかの選手が有利になったり不利になったりということは考えにくい。逆に、普段の練習では着用している方のほうが多いのではないか。

 

また、ランキング制度について、優勝者が獲得するポイントが増加した。(2位、3位は従来どおり)

具体的には、競技者の総数が1000人未満の大会での優勝者が獲得できるポイントは7ポイント、1000人以上の大会で獲得できるポイントは14ポイント、さらにSJJIF World Tournament(SJJIF世界柔術選手権)では3倍の21ポイントとなる。(従来は5、10、15ポイント)

あとは、入賞した競技者がそのトーナメントで行った試合数によってポイントの倍率が変動する。

 

しかしながら、1000人規模の大会とは相当大きな規模である。現時点で国内のSJJIF系列の大会で競技者の総数が1000人以上となる大会はないのではないだろうか。僕が知る限り、DUMAU九州はだいたい200~400人規模である。アジア圏内だと、先月韓国で開催されたDUMAU KOREAが試合会場10面使って、ようやく1000人近くだったと聞いている。

 

チームランキングは2013年から行われていたが、ナショナルランキング、先生ランキングというのは初耳だ。ホームページを見ても、Coming soonとしか書かれていないので、おそらく2018年度から新設されるランキングなのではないか。

 

なお、SJJIFランキングは11月~翌年10月を1年の区切りとしている。(SJJIF World Jiu-Jitsu Championshipが締め)

 

※SJJIFランキングは、ASJJFランキングとは別物である。こちらの伯柔記さんの記事でも述べられているが、ASJJFランキングは大会によるポイントのウェイトに違いがない。

blog.livedoor.jp

 

 

 

年齢区分は4~15歳をキッズ、16~17歳をジュブナイル、18歳~をアダルト、30歳~をマスターとし、区分名の後に対象年齢をつけて、名称がわかりやすくなっている。

 

体重区分は、よく見ると従来のライトフェザー級スーパーフェザー級という呼び名に変わっていることがわかる。これは以前からだが、体重上限はIBJJFルールとはわずかに違う階級があるので注意が必要だ。

 

 

また、黒帯の称号については、黒帯~黒帯二段を「黒帯」、黒帯三段~黒帯六段を「プロフェッサー(先生)」、黒帯七段~黒帯八段(赤黒帯)を「マスター」、黒帯九段~黒帯十段を「グランドマスター」としている。上記の先生ランキングというのはおそらく黒帯三段以上の方が受け持つ生徒のポイントで集計されるものであろうか。詳細はまだ謎である。

SJJIFの帯制度は基本的にはIBJJFの帯制度に準拠しているように思えるが、違いがあるといえば、茶帯を授与できるのが黒帯一段からであるという点だろうか。先日IBJJFの帯制度に追加された茶帯と黒帯の仮認定制度は、こちらではまだ採用されていないようだ。

 

それにしても、19歳で黒帯を取得したとしても最高段位の黒帯十段になるには最短で82歳とは果てしない...。実際はもっと先だと思うが、現在茶帯の僕が最短で黒帯を取得したとして24歳、そこから毎年連盟に登録をし続けて最低修行年限で昇段の申請をし続けたとしても黒帯十段を取得できるのは早くて87歳、果たして生きているのかも怪しい。笑

というか、比較的メジャースポーツの柔道ですら頻繁にルール改正が行われている現在、競技として発展途上の柔術はこれからどんどん変化していくのではないか。柔術連盟は大きく分けて3つあるが、数十年後にはどこかの連盟が消滅しているかもしれないし、逆に新たな連盟が発足しているかもしれない。今後の柔術界やいかに。

 

選手やアカデミーによっては特定の連盟の大会にしか出場しない方針ところもあるが、今後ある連盟では有効な資格・帯などが別の連盟では無効となることが起こりうるかもしれない。

個人的にはどの連盟のルールにも適応できるようにしていきたいので、今後もルールや制度をしっかりと理解しておく必要があると考えている。